泌尿器科とは

泌尿器科のイメージ写真

左右の腎臓で常に作られている尿は左右の尿管を通り膀胱に溜められ、一定量になると尿道を経て排尿されます。

この「腎臓から尿道口」までが泌尿器で、泌尿器の様々な疾患を扱う診療科が泌尿器科です。

「腎臓内科とは扱う領域がオーバーラップ」しています。

排尿は日常の何気ない行為ですが、そこには複雑なメカニズムが含まれています。

そして、「頻尿、排尿時痛、排尿困難」などは頻度が高い症状で、かつ「QOLを著しく低下」させるのみならず「全身健康状態にも悪影響」を及ぼします。

「前立腺肥大」、「過活動膀胱」などに対する優れた薬が相次いで登場しており、多くの方が人に言いづらい深刻な状態から解放されています。

これら「排尿に関する悩み」をお持ちの方は、ぜひ「現代の優れた薬たちの恩恵」にあずかって頂きたいと考えます。

女性に多い「膀胱炎や腎盂腎炎」に関しては中途半端な治療は膀胱や腎臓に大きなダメージを残しますから「最適な抗菌薬による入念な治療」が肝要です。

男性の「ED治療」は保険外治療ですが、「心身の健康を保っていく」上で、「より素敵な人生」を過ごしていくという観点から、私は非常に重要な治療であると考えております。

ある意味で「最も重要な治療」の一つかもかもしれません。

効果不十分の場合は内科的なアプローチも併用します。

「腎臓結石」は単純に腎臓にカルシウム等が結晶する疾患ではありません。

結石が生じていくプロセスにおいて、「動脈硬化と極めて類似したプロセス」が存在していることが解明されています。

つまり、「糖尿病、高血圧症、高コレステロール血症、高中性脂肪血症、高尿酸血症、内臓脂肪過多・異所性脂肪過多」などの動脈硬化要因を持った方は腎臓結石を生じやすいのです。

慢性炎症が関与した病態です。

「腎癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌などの悪性疾患」を見逃さないために、検尿は非常に重要です。

また、前立腺癌にはPSAという信頼できる血中腫瘍マーカー検査が存在します。

当院では「前立腺の腫瘍マーカーPSA検査の即日検査」が可能です。

悪性疾患については多少なりとも疑わしい場合には速やかに基幹病院への紹介をしていきます。

このような症状の方は受診を

  • 尿が出にくい
  • 尿が出ずに膀胱が張っている
  • 尿に勢いが無い
  • 尿が近い
  • 排尿に時間がかかる
  • 夜間に何度も排尿
  • 残尿感がある
  • 尿漏れ
  • 腰が痛む
  • 背中が痛む
  • 下腹部が痛む
  • 前立腺が痛む
  • 発熱
  • 悪寒
  • 食思不振(特に高齢者)
  • 血尿
  • 尿がにごる
  • 尿が臭う
  • 健診の尿検査での異常
  • EDである

主な疾患名

過活動膀胱

症状によって定義される疾患です。

「尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿」などの排尿障害を呈する疾患群です。

脳や脊髄に原因があるケース、膀胱自体の変化があるケース、前立腺肥大に伴うケース(男性)、骨盤底筋の脆弱化に伴うケース(主に女性)などがあります。

膀胱結石、膀胱腫瘍、間質性膀胱炎などの特殊な疾患の存在の除外が必要です。

原因に最適な薬剤の投与にて症状の軽快を目指します。

1つ目の薬で軽快が得られなくても、「作用点の違う他の薬を組み合わせることで改善がみられる症例」もあり、工夫次第で治療の選択肢が広がります。

過活動膀胱には慢性炎症が関与しており、「糖尿病、高血圧症、高コレステロール血症、高中性脂肪血症、高尿酸血症、内臓脂肪過多・異所性脂肪過多」などの改善も大切です。

尿路結石

腎盂(腎臓の内側の尿が漉し出される小部屋)に生じた結石が尿管に落ち込んだ時に激しい痛みと血尿を生じる疾患です。

痛みを抑えるための薬を投与しながら、飲水を多くし、排石を促す薬を投与して様子をみていきます。

1cm程度の結石であれば多くの場合は自然に膀胱に落ち、その後尿道から排尿時に外部に排石されますが、時に結石が尿管を詰まらせてしまい、腎盂が拡張し「水腎症」と呼ばれる状態になります。

この状態が長引く場合は設備とスタッフの充実した病院での治療が必要となり、ESWL(体外衝撃波結石破砕術)、TUL(経尿道的結石除去術)、PNL(経皮的結石除去術)などが行われます。

現在では開腹手術は行わずともほぼ結石は除去できます。

前述のとおり、「腎臓結石・尿路結石の発症プロセスは動脈硬化との類似点」が多々あることがわかっています。

つまり腎臓結石・尿路結石の予防を考える時には、「糖尿病、高血圧症、高コレステロール血症、高中性脂肪血症、高尿酸血症、内臓脂肪過多・異所性脂肪過多」などの動脈硬化促進因子の改善が重要となってくるのです。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は男性特有の疾患で80歳以上になると8割以上の人が前立腺肥大を有しているとも言われています。

「過活動膀胱を合併することがほとんど」で、尿が細くなり、尿意を我慢できなくなり、頻尿となり、夜間頻尿となり、QOLの低下と共に全身健康状態に著しい影響を与えることとなります。

前立腺を緩める薬、前立腺を小さくする薬など優れた薬が登場しており、これらの薬を組み合わせることもでき、治療の選択肢は増しています。

原因ははっきりとわかっていませんが性ホルモンのバランスの変化が原因の一つではないかと考えられています。

さらに、前立腺肥大にもまた「糖尿病、高脂血症、高血圧症、高尿酸血症、内臓脂肪過多・異所性脂肪過多」など「メタボリックシンドロームによる慢性炎症」が関与しており、これらの治療が重要です。

膀胱炎

細菌などによる急性感染症です。

主として尿道口より細菌が逆行性に侵入し膀胱に感染が成立した際に生じる疾患です。

「抗菌剤を投与」しますが、中途半端な治療は感染を再燃させ膀胱にダメージを残しますから入念な治療が大切です。

放置すれば腎盂腎炎を生じたり、敗血症など生命にかかわる病態へと進展することがあり得ます。

女性に多い疾患ですが、罹り易い女性とそうでない女性がおられます。

罹り易い女性は「過活動膀胱」を有していたり、「外陰部の常在菌の状態」に問題があったり、といったことが考えられます。

また「糖尿病」の方は注意が必要です。

慢性膀胱炎

細菌性と非細菌性のものがあります。

細菌性慢性膀胱炎は急性膀胱炎の治療が不十分な場合等に感染が遷延化した病態であり「抗菌剤投与」が基本となります。

非細菌性膀胱炎は「糖尿病、前立腺肥大、膀胱結石」など他の何らかの原因により膀胱に慢性の軽い炎症が生じた状態であり、「漢方薬」などで様子をみていくことになります。

他には「アレルギー」、「メタボリックシンドロームによる慢性炎症」、「ストレス」などの関与が考えられています。

間質性膀胱炎

「無菌性の慢性の膀胱炎」で膀胱のバリア機能の破綻が病気の本態です。

原因ははっきりとしていませんが、「アレルギー」や「自己免疫疾患」の関与も考えられています。

「一部の抗アレルギー薬に効果」が認められることがあります。

また「膀胱水圧拡張術」で膀胱を拡張する治療法もありますが、効果は数か月程度です。

決定的な治療方法のない「難治性の疾患」です。

出血性膀胱炎

小児に多くみられ、肉眼的血尿を伴う膀胱炎でアデノウイルスなどの「ウイルス感染」が主な原因です。

アデノウイルスに対する薬は存在しないため、経過観察をしていきます。

多くは10日ほどで軽快します。

他の原因に「細菌性」、「薬剤性」、「放射線治療に伴うもの」、「アレルギー」などがあります。

「膀胱の中で血液の塊」が生じないように「十分な水分摂取」が必要です。

「点滴による水分補給」が必要な場合もあります。

細菌性の場合は適切な抗菌剤の投与が必要です。

血尿が続く場合は尿路系悪性腫瘍の存在も考えます。

腎盂腎炎

急性の細菌感染症です。

細菌が膀胱からさらに腎盂にまで逆行性に侵入し感染が成立した際に生じる疾患です。

膀胱炎を放置したり、膀胱炎の治療が中途半端になった場合などには腎盂腎炎に進展し得ます。

「強力な抗菌剤治療」が必要です。

放置すると「敗血症」など生命にかかわる病態になり得ます。

中途半端な治療で遷延化すると腎臓に重大なダメージを遺すこととなり、慢性腎臓病(CKD)につながっていきます。

「腎臓結石」のある方は一層の注意が必要です。

慢性腎盂腎炎

慢性的な細菌感染症です。

症状は強くありません。

「腎臓結石」の存在、「膀胱尿管逆流症」、「腎盂尿管移行部狭窄症」などにより「腎臓に慢性的に細菌感染」が生じている状態であり、放置すると「慢性腎臓病」、「腎不全」への進展していきます。

「解剖学的異常に対しては手術的治療」が望まれます。

「長期の抗菌剤投与」も治療の基本です。

そして、「検尿、CT、エコーなどで状態評価」をしながらフォローアップしていく必要があります。

前立腺炎

急性の感染症です。

尿道口から逆行性に侵入した細菌などにより引き起こされ、発熱、悪寒、関節痛、前立腺の痛みなどを生じます。

「適切な抗菌剤による入念な治療」を行います。

細菌が血液に移行して全身に飛び散る可能性があるために「前立腺マッサージは禁忌」です。

慢性前立腺炎

細菌の慢性感染やその他の原因による前立腺の慢性炎症です。

細菌性のものや非細菌性であっても「マイコプラズマ」や「クラミジア」感染が関与したものには適切な抗菌剤の投与にて治療していきます。

尿中白血球を認めず炎症所見に乏しいタイプには漢方薬やセルニルトン(植物性製剤)を投与して経過をみていきます。

「自転車やバイクに乗られる方」、「タクシーやトラックのドライバーの方」、「長時間デスクワークの方」、などの「前立腺への機械的刺激」、「ストレス」、「アレルギー」、「メタボリックシンドロームによる慢性炎症」などの関与が考えられます。

腎癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌

「検尿の異常」がみられる場合、「尿細胞診」で異常がみられる場合、「CTやエコー」など画像検査で異常が疑われる場合、「PSA検査」など、「尿路系悪性腫瘍が疑われる場合には、設備とスタッフが充実した病院に「迅速に紹介」します。